孤高のエンジン mazda ロータリーエンジンに思う

ドイツNSUからヴァンケル方式R・Eのパテントを買った東洋工業(現:MAZDA)に対し、期待する自動車ファンと、それを冷ややかな上から目線で馬鹿にした学者がいた昭和30年代。
R・Eの完成を夢見るファンを、新興宗教に感化された人のように言い切り、またR・Eが生まれながらの小児麻痺だのかたわだと、現代では差別用語の羅列で馬鹿にし切った国立大学の工業機械系の教授の文章に出合ってあきれ果てたニャンコです。

その先生様の理論自体が、それまでの古い機械機構や技術・材料の知識に基づく時代遅れな話だったのですが、こういう権威ってやつはいつになっても恥知らずで迷惑な存在ですね。

現場で技術者が努力と研究を重ね、昨日不可能だった事が今日出来て、今日わからなかった理論が明日発見されたりと日に日に進化していくものなのに。

だからニャンコは今も学者(特に自称〇〇学者)ってヤツを信用しません(笑)



さて、燃費が悪いといわれた初期のR・E搭載車ですが、近い性能の車と比べれば一般道や高速での実燃費はほとんど変わらず、R・Eがレギュラーガソリンで良い分で充分チャラでした。
これは当時のモーターファン等のロードテストで確認出来ます。


突然アメリカのマスキー議員から出された低公害車のための法律に世界中の自動車メーカーを戦慄させたマスキー法が交付。
それに対応できる公害対策型エンジンの開発でMAZDAが濃混合気での排気ガス再燃焼方式を選んだ事からR・Eの大飯喰らいというレッテルが貼られる事になったのは先の見通しを誤ったと言われても仕方ないかも。まさかオイルショックが起きてガソリンが3倍も値上がりするなんて…

ほぼ時を同じく公害対策エンジンを世界で初めて発表したHONDA CVCCエンジンはR・Eとは真逆な超希薄混合気燃焼方式。結果的に燃費も良くなってしまったという、その後のオイルショックにもピタリとはまった新方式でした。

もちろん、エンジンとしてのパワーやフレキシビリティは濃混合気のR・Eのほうがずっと上で、車の走りには公害対策としてのハンデが少なかったのですが、パワーや走りより燃費が良ければ正義で、ガソリンを喰うのは悪という時代の雰囲気に、R・EのMAZDAはコテンパンにやられ、倒産一歩手前…棺桶に片足を突っ込むまでになってしまったのは1950年代生まれの自動車ファンなら皆ご存知かと。


思えばMAZDAは公害対策車であれ、パワーと走りを追いかけちゃったんですね。そのDNAは現在も?(笑)


さて、公害対策が問題になった時、世界中の自動車メーカーが慌ててR・Eの特許を買って開発研究を始めました。もちろんあのベンツもトヨタも。
でも基本特許をMAZDAに押さえられいたR・Eに、土壇場の付け焼刃で新しい技術投入など出来る訳も無く、各社ともアメリカのマスキー法に対し、こうして研究してますという姿勢を見せるのが精一杯。そして法の発効期日を遅らせようという算段だったとニャンコは思っています。

本気で各社が研究し合えばもっと早くR・Eは低燃費化も可能だったし、さらに新しい論理や技術が重なった進化をしていたでしょう。

そしてHONDAのCVCCエンジンは早々と姿を消しましたが、生まれながらの小児マヒと学者先生に揶揄されたR・Eはしっかり生き残って来たしレース場でも精一杯既存のエンジン達と戦って来ました。
たった1社。他からの技術提供も情報も無く、世界中で研究開発され続けているレシプロエンジンに挑んできた孤高のエンジン「MAZDA ロータリー・エンジン」を日本人として誇りたいし、それがR・E車に乗ってきた自分のこだわりでもあります。

いま、MAZDAではR・E車を販売していません。
自分もそろそろRX8を降りる時が来ました。ATミッションのスポーツカーに乗る気持ちは全く無いので、きっとこれが最後のR・E車になるでしょう。

自分はもう手に入れる事が出来ないでしょうが、新たなR・E搭載車(噂ではRX9?)も開発中との噂にワクワクしています。
新世代R・Eをぜひ育てていって欲しいと願うニャンコです。