ニャンコの故郷 2

町は南北に細長い盆地に沿って広がっていました。
東側の山裾に役場や商店街が北にある鉱山の施設に続いていて、盆地の中央には鉱山の社員住宅や学校、小さな繁華街が広がり、さらに西側の山裾には農家や鉱山以外の仕事に就く人たちの家が並んでいた様に思います。
役場や商店街のある町の中心部と、学校や住宅に歓楽街や鉱山長屋がある生活区域(?)を分けるように、米代川の支流にあたるK川が流れていました。そこそこ水量のある川で、当時は町の中ほどに鉱山からの廃水が流れ込み、薄い赤緑色をした水と、酸っぱい様な錆臭い様な臭いがし、河原の石は赤茶色に染まっていました。
ニャンコの入った社宅は商店街より東の山側にそれと並行して開かれた道沿いに並んで建っていた鉱山住宅のひとつでした。
学校に通うには川にかかっているコンクリートの橋を渡るのですが、欄干もそう高くないその橋から、雪解け時や梅雨時に増水してドーっと轟音をたてる流れを見下ろすと本当に吸い込まれてしまいそうで子供のニャンコは怖くてしかたありませんでした。


ニャンコの妹はちょうど小学校の1年生になる所でしたので、入学式に張り切って出かけていった様です。当時の社宅から街に下りていく様子です。


今思えば、社宅がある以外は荒涼としていた町のあちこちです。
 昭和30年代後半頃でした。